「見慣れない顔ね。Sクラスってことは、あなたが噂の転校生? 付き合う相手は選んだ方がいいわよ」




私のネクタイを見た女子はクス、と笑って、類家胡桃に含みのある視線を向けた。

他の女子も同じような目をしていて、あぁ、と察する。


私が理解したことが間違っていないことを証明するように、彼女達は次々に嘲りの言葉を吐いた。




「誑かすのが上手いのは男だけじゃなかったんだね、類家さん?」


「何も知らない転校生に取り入ろうとしてるんじゃない?」


「あはは、そうかも! ねぇ転校生さん、知ってる? 類家家って、古いだけの没落した家なのよ」


「そうそう、噂じゃ借金まで抱えてるんだって。ふふっ、笑えるでしょ?」


「うちは借金なんて……」




笑う女子達に、類家胡桃は眉を下げて弱々しい声を発した。