―――くんは「――ちゃん、ちょっとだけまってて」と言って、お屋敷の方に走って行ってしまったのだけど、少しすると――のところに戻って来てくれた。




「はぁ、はぁ、おまたせ! ――ちゃん、このはんかちをよーくみててね? いくよ」




泣きながら―――くんが持っている赤いハンカチを見ると、―――くんはハンカチをひらひらした後に、くしゃくしゃっと握って……。

そぉっと捲ったハンカチの中から、1輪のバラが出てきた!




「ふわぁ……!」


「このばらにちかって、――ちゃんがさみしいときは、ぼくがそばにいるよ。だからなかないで、わらっていて? ぼくのおひめさま」




―――くんは、そう言いながら――にバラをくれた。

気付いたら――の涙は止まっていて、自然と笑顔になる。




「ありがとう、―――くん。だいすき!」