「ん~、ちょっとひんやりするなぁ。仕事の後って感じ」
「……怪我、は?」
「無傷だよ。殺られる前に風の刃で首切ったから」
「……そう」
崩れ落ちたのは、演技ってこと。
「あれ、何か急に寒く……って、タンマタンマ! ごめん! 反省してるから吹雪かせるのやめて!」
「1つくらい氷像が増えても問題無い」
「あるある、大ありだから! 本当にごめん! 心配かけてごめんね!?」
両手を上げて、嘘くさい笑顔を貼り付けたまま謝る翠笑を、冷めた目で見下ろす。
死なない程度に加減はしてあるから、しばらくそこで震えていればいい。
「殺人現場で痴話喧嘩か。殺し屋らしくなったな」
吹雪を纏っていると艶のある低い声が聞こえて、パッと振り返った。
死体だらけの荒れた会議室にいつの間にか佇んでいたのは、私達のボス。



