何て言ったらいいのか分からなくて、翠笑(すいしょう)の服を掴んで、それだけ口にした。

すると、私を抱き締める翠笑の腕が緩んで、「ごめん」とか細い声がする。




「……ねぇ、“仕事”が終わったら、慰めてくれる? 結構、好きなんだ。獅紋(しもん)のこと」


「うん……」




その言葉が聞けて、ホッとした。


私が翠笑の背中に手を回すと、翠笑も私を抱き締め直して、少しの間お互いの体温を感じる。

こうやって慰め合うのが当たり前になったのは、いつからだろう。



しばらくして体を離すと、翠笑はいつも通りの笑顔で「じゃあ、また明日」と言って窓から帰っていった。



來樺院(らいかいん)獅紋(しもん)を狙う、もう1人の殺し屋。

その人物がいつ、どんな手段で來樺院獅紋を殺すつもりなのかは分からないけど、私の任務の邪魔はさせない。


余計な障害は排除して……必ず、任務を遂行する。