白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



何で今。

そう思って見ていると、翠笑(すいしょう)は私をぎゅっと抱き締めた。


柔らかい声が、耳元で聞こえる。




氷霞(ひょうか)ちゃんが誰を殺したって、恨んだりしないよ。大丈夫、分かってるから」


「……分かって、ない。友達なんでしょ」


「そうだけど。獅紋(しもん)がターゲットになっちゃったんなら、仕方ないじゃん。僕達は殺し屋なんだから」




仕方ない。

そんな言葉で、割り切れるの?




「殺し屋でも……悲しんでいいって、翠笑が言ってくれた。友達を殺した人が憎いのは、当然のこと」


「大丈夫だよ。僕は切り捨てられる人間だから。獅紋は見殺しにするし、氷霞ちゃんの手伝いもする」




翠笑の優しい声が、私の胸を締め付けた。


そんな悲しいこと言わないで。

そんな辛いこと言わないで。


こんな時に、私を気遣ったりなんてしないで。




「ダメ」