「類家胡桃は?」
「類家さんは港泰くんに付き合って一緒にいる感じ。港泰くんは野心家で、來樺院家とコネを作る為に獅紋に近付いてるんだ」
ニコニコ笑いながらの解説を聞いて、芹羽港泰の様子を思い出す。
行動原理を知ると、確かに腑に落ちる言動ばかりだ。
「まぁ、これは本人も公言してることだし、獅紋も知ってて付き合ってるんだけどね。來樺院家が目当てで獅紋に近付いた人の中では、港泰くんが一番長続きしてるよ」
「長続き?」
「ほら、獅紋は愛想が悪いでしょ? 実際仲良くなっても甘い蜜は吸えないから、みんな諦めて離れていくんだ」
なるほど、と溜息を吐く。
お金持ちの世界のことは分からないけど、どんな世界でも駆け引きや謀計はあるようだ。
來樺院獅紋と芹羽港泰、そして類家胡桃が単純な友人同士では無いとなると、周りの人間と親しくなる、という手はあまり意味が無いかもしれない。