白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





「うんうん、ちゃんと派手に見えるし綺麗だし、オッケーオッケー」


「無駄口叩かない。さっさと帰るよ」


「アッハハ、氷霞(ひょうか)ちゃんってば辛辣~」




部屋の奥まで見て回り、くるりと振り返ってこちらに戻って来る翠笑(すいしょう)から視線を外す。

念の為に人が来ないか廊下を見ていると、部屋の中から魔力反応を感じ取って視線を戻した。



捉えたのは、宙に舞う血飛沫。

肩を氷の槍に貫かれたターゲットの1人が、炎を纏ったナイフを持って翠笑に襲いかかっている。




「翠笑!」




咄嗟に叫んで氷の針をターゲットの心臓に飛ばすと、ガクッと崩れ落ちる翠笑の元に駆け寄った。


まさか、生き残りがいたなんて。

油断した……!




「どこをやられたの!?」


「氷霞、ちゃん……隙あり!」


「っ!?」




膝をついて翠笑の肩に触れると、突然ガバッと抱き締められて思考が停止する。