窓から侵入してきた翠笑(すいしょう)に甲斐甲斐しく世話を焼かれた私は、居心地が悪くなって、ベッドに腰掛けたまま翠笑を見上げた。




「何の用で来たの?」


「あぁ、初めてのことばっかりで不安かな~って。心友のハグはいかが?」




翠笑は両手を広げて、優しい声音で言った。


予想外の答えに毒気を抜かれて、ふい、と顔を背ける。




「いい」


「そっか。じゃあお話でもする? 何でも答えるよ」


「……來樺院(らいかいん)獅紋(しもん)と、周りのこと。教えて」


「ハイハ~イ」




手を下ろした翠笑は、私の前にあぐらをかいて座る。

今度はベッドに座る私の目線の方が高くなった。




「今日見てただけでも分かると思うけど、獅紋ってあんな感じだから交友関係は狭いんだ。同じクラスで話をするのは僕と港泰(こうだい)くんくらい」