白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





「ペット扱いしないで」


「心外だなぁ、僕はちゃんと人間扱いしてるよ? 例え氷霞(ひょうか)ちゃんがその溢れ出る可愛さで僕を虜にしても、ペットにしたいなんてとてもとても」


「……嫌な言い方」




表情も相まって含みがあるように聞こえる。


実際、翠笑(すいしょう)は嘘くさく聞こえるのを分かっていて、本音と冗談を混ぜて喋るからタチが悪い。


髪を拭くのを止めて、私の頭からタオルを取った翠笑は、湿った髪に指を通して風魔法を使った。




「ほんとほんと。まぁ、これからは毎日来ようかな。場所も近くなったし」


「来なくていい」


「でも定期的に片付けはしないと、すぐ足の踏み場が無くなっちゃうよ?」


「……」




反論できず黙り込んだ私の髪を乾かし終えて、翠笑はニコニコ笑う。

何だか、立場が逆転してしまった気がする。