白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



自分でも改めて部屋の中を見回す。


床とベッドにはそれぞれ、朝脱いだ服と制服が置いてあり、机の上は教材を探した跡がそのまま残っている。

部屋の隅にあった段ボールは開封して、必要そうな物を近くの床に適当に出してあるけど。




「まだ大丈夫。床が見える」


「アハハ……やっぱり定期的に来ないと、家みたいになりそうだね。分かった、ちょっと片付けるから氷霞(ひょうか)ちゃん座ってて?」


「……」




そんなことしなくていい、と言いたいけど、翠笑(すいしょう)が寮に入った後の家の惨状を思うと、そうも言えない。

その結果、無言でベッドに腰掛けることになった。


翠笑は部屋の電気をつけて、歩き回りながら私が手を付けた物を片付け、ついでに荷解きも行う。


リビングを挟んで向かいの部屋には類家(るいけ)胡桃(くるみ)がいるわけだけど、翠笑がいる間、ここは防音部屋も同じ。

こと音に関しては、外に漏れる心配をする必要は無い。