「え〜、一目で分かるでしょ? しょうがないなぁ、ほら、証拠。これでいい?」
「……あぁ、誰かと思えば翠笑。窓から入る許可なんてしてないけど」
翠笑は口元を指差しながら、べ、と舌を出していた。
今は部屋の電気をつけていないからよく見えないけど、そこにはドクロのタトゥーが入っている。
私の舌にも。
これは、殺し屋千化の一派であることを証明するものだ。
ボスの子供として認められた証でもある。
「女子寮に正面から入るのはちょっとね~……あ、ごめん、何か踏んじゃった。って、ちょっと待って、暗くて気付かなかったけど……」
「何?」
「氷霞ちゃん……もう、こんなに散らかしちゃったの?」
薄暗い中、窓辺からこちらに来ようとしていた翠笑は、途中で足を止めてそんなことを言った。
こんなに、と言ってもまだ綺麗な方だと思うけど。



