そして翠笑自身も、クラスメイトとはどこか壁があるようだ。
「あ、おかえりなさい。寮のこと、分かりました?」
「一通り、場所は覚えた。利用時間は怪しい」
「今日1日で色んなところを案内しましたからね……そうだ、施設の利用時間を書いた張り紙を用意しましょうか」
「うん。助かる」
放課後になり、寮監に女子寮の中を案内してもらった後、自室に戻ると類家胡桃がリビングにいた。
朝に比べると、緊張も解けて、随分話しやすくなった気がする。
それでもまだ距離を感じるけど、そこは時間の問題だろう。
「夕食はどうなさる予定ですか? 部屋でも一応調理はできますけど」
「食堂に行く。料理はできない」
「まあ、そうなんですね。それなら、その……夕食の時は、ご一緒、しますか?」