授業に関しては、心配していたほど問題は無さそうだ。
話には充分ついていける。
任務に集中できるのはいいこと。
それよりも。
「さっすがSクラスに来た転校生だね~。うちの授業って進行早いから、結構難しいんだよ」
「魔法には自信がある」
「おぉ、これは獅紋に迫る天才の登場かな?」
私の席に来てしゃがみ込む翠笑と話をしながら、來樺院獅紋の様子を伺った。
今は窓の外ではなく、自分の机に視線を落としているようだ。
他の生徒はそれぞれ親しい人と休み時間を共にしているようだけど、彼に近付くクラスメイトはいない。
私自身も、チラチラと複数の視線を感じるものの、近付いてくるのは芹羽港泰と類家胡桃の2人だけだった。
「実技の腕前も気になるところだな。残念ながら今日は座学だけだが」