小さく溜息を吐いて、周りに倣い、鞄から教材を取り出して机の上に置く。


私の席は廊下側の一番後ろ。

廊下側から2列目、前から2番目の席に類家(るいけ)胡桃(くるみ)が座っている。



翠笑(すいしょう)は真ん中の列一番後ろの席で、芹羽(せりう)港泰(こうだい)は窓際から2列目の先頭だ。

問題の來樺院(らいかいん)獅紋(しもん)も含め、私が今後関わっていくべき人達は、各列各行に1人ずついるらしい。


まぁ、席の場所などあまり気にしなくてもいいか。



本当のチャイムは翠笑が聞こえないようにしたのだろう、クラスメイト全員が着席して少しすると、教室に男性が入ってきた。




「おはよう、授業を始める。昨日は……」




教卓の前に立って、男性は教科書を開きながら前回の授業の振り返りをする。

前回を知らない私にはピンと来ない話だが、教科書の内容はほとんど理解できた。