「正反対って?」


白蓬(はくほう)李璃(りり)はよく笑う明るい子供だったらしい」


港泰(こうだい)さま……少々失礼です……」


「気にしなくていい。無愛想なのは自覚してる」




眉を下げる類家(るいけ)胡桃(くるみ)に言葉を返す。

翠笑(すいしょう)は「笑ったら可愛いと思うなぁ、黒塚(くろづか)さん」と不必要な口を挟んだ。


芹羽(せりう)港泰(こうだい)は赤い目を妖しく細め、ニィ、と口角を上げる。

その視線は真っ直ぐ私に向けられた。




「オレは黒塚を見た時に、白蓬李璃を連想しなかった。にも関わらず、オレより白蓬李璃をよく知るはずの來樺院(らいかいん)は、黒塚が白蓬李璃じゃないかと疑った」


「……何が言いたいの?」


「黒塚は白蓬李璃じゃない。が、白蓬李璃と無関係ではないんじゃないか?」


「……」




この質問にどう答えるか。

それは、私がどうやって來樺院(らいかいん)獅紋(しもん)に近付くかで変わる。


白蓬李璃を利用するか。

無関係だと、本当のことを告げるか。


考える時間は僅かだ。