白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





「ふぅん、獅紋(しもん)黒塚(くろづか)さんがその婚約者に見えたってこと? そんなに似てるの?」


「さぁな。さっきも言ったが、行方不明になったのは6歳の時だ。9年も経てば、当時の写真と見比べたとしても分かるかどうか」


白蓬(はくほう)家の方は黒い髪に青い瞳をしているんです。黒塚さんも同じ色ですから、それできっと」




黒髪青目……ボスは分かっていて黒髪に染めるよう言ったのだろうか。

だとしたら、婚約者の話をしなかったのはわざと?


9年経ったということは、今は15歳。

來樺院(らいかいん)獅紋(しもん)は誕生日を聞いて食いついてきたから、白蓬(はくほう)李璃(りり)も恐らく1月31日生まれ。

私と同い年、だ。


これは……利用するべきだろうか。




「黒髪青目か~。よく見る色じゃないけど、個人が特定できるほど珍しくもない、かな?」


「あぁ。学園内にも3、4人いるからな」


「へ~。何で知ってるの?」