白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



意識して他の生徒にも目を向ければ、外見から育ちの良さを感じられる人が数人いた。

それを補足するように、翠笑(すいしょう)がニコニコ笑う。




「この学園には結構多いんだよ、お金持ちの人。Sクラスは特にね。獅紋(しもん)なんて4年の代表格じゃないかな」


「まぁ、來樺院(らいかいん)家は別格だな。本人もあんな感じだし」




芹羽(せりう)港泰(こうだい)が意識を向けたのに便乗して、こちらを見向きもしなくなった來樺院獅紋のことを尋ねることにした。




「さっきのは何? 随分落ち込んでるみたいだけど」


「落ち込んでる? いや、あれは……」




目を瞬いた芹羽港泰の言葉を引き継ぐように、類家(るいけ)胡桃(くるみ)が曖昧に微笑む。




「來樺院さんは落ち着いた方なんです。あの様子はいつも通りなんですよ」


「そうそう、獅紋ってクールで大体のことに無関心なんだよ。人付き合いも最低限しかしないし。だから、さっきみたいな態度の方が珍しいんだ」