「わたしは改めましてですね。類家胡桃、得意な属性は水と土と木です。分からないことがあったら何でも聞いてください」
気さくに笑う芹羽港泰と、おっとり笑う類家胡桃は寄り添うように並び立っている。
この2人はクラスメイトという以上に、親しい付き合いがありそうだ。
「港泰くんと類家さんは婚約者なんだって。凄いよね~、婚約なんて。僕みたいな一般人には遠い世界だよ」
さり気なく情報提供した翠笑をチラリと見て、2人に視線を戻す。
「胡桃と港泰は一般人じゃないの?」
尋ねると、芹羽港泰は目を見張って、ハハッと笑った。
「一般人じゃないってこともないけどな。うちも類家も、ついでに來樺院も、良家ってやつなんだ。な、胡桃嬢」
「えぇ、港泰さま」
緊張状態に無い類家胡桃は確かに淑やかで、佇まいや所作から上品さが滲み出ている。



