結局、質問攻めにされた理由は分からないまま。
事情を知っていそうな茶髪の男子に聞くか、と來樺院獅紋から目を離すと、翠笑が机越しに迫ってきた。
「僕は楼燕夜唄! 得意な属性は風と音だよ。よろしくね~」
「……よろしく」
ニコニコと嘘くさい笑顔で手を振る翠笑に、白けた目を向けそうになって、ぐっと堪える。
髪と目の色以外、いつもと変わったところが無いから、ついつられそうになる。
学園では距離を置くか、いっそ親しくなった振りをするか選んだ方が良さそうだ。
目当ての茶髪赤目の男子と、桜色の髪に桜色の目をした類家胡桃は、こちらから話しかけるまでもなく、自分から口を開いた。
「オレは芹羽港泰だ。得意な属性は土と鉱物。転校生がSクラスに入るって聞いて楽しみにしてたんだ。よろしくな」



