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太陽に照らされたアスファルトの上に、血を流した死体が横たわっている。

傍らには氷で出来た菊の花が置いてあり、コツコツと革靴を鳴らして死体に近付いた男は、菊を拾い上げた。




「お疲れさまです!」


「ご苦労。例の2人か?」


「はっ。殺し屋氷菊(ひょうぎく)風音(ふうおん)の仕業であると思われます」




現場を捜査していた魔導警察官から報告を聞いた男は、「そうか」と一言答えて目を瞑る。




「李璃……せめて俺の手で捕まえてやる」




呟いた男の声は、金色の髪を揺らす風に乗って、宙に消えた。




[終]