体を動かされても目を覚まさないのは、父さんに何かされているんだろう。
李璃ちゃんの目蓋が開いて、あの綺麗な青い瞳が憎悪に染まるところを想像すると、心臓が止まるような錯覚さえ覚える。
父さんが、余計なことを言わなければ……。
「ふっ、いい目になったな。まぁ、お前達が俺を殺せるほどの力を身につけるまでは、黙っているさ。それ以降は夜唄、お前次第だ」
「……分かったよ、父さん。僕達の血が繋がってる事実なんて、この世から消し去ってあげる」
李璃ちゃんを奪い返して、力の抜けた体をぎゅっと抱き締めながら、僕と同じ金色の瞳を見据える。
真実なんて、知らなくていい。
僕達は闇の中で、お互いだけを見つめて生きるんだ。



