あの人相手に、“いつの間に”とか、“どうやって”とか、考えるだけ無駄だ。
僕の背後に現れたらしいボスは、足音を立てて僕達の横に回り込み、僕に凭れ掛かっている李璃ちゃんの頭を撫でた。
「どうしてわざわざ李璃ちゃんを攫ったの?」
「あの時のターゲットは、白蓬家の当主夫妻と一人娘の3人だった。最初は一人娘も殺す気でいたが……内包魔力量が飛び抜けててな」
「才能があったから、殺さなかったの?」
「あぁ。ちょうど子供を育てるのにハマっていたし、お前と同じ年頃だろう? 女を与えてやるのもいいと思ってな」
ボスが適当なことを言う時は、大体嘘じゃない。



