きっと、僕と李璃ちゃんの想いは釣り合わない。
そんなこと、分かっていても、僕はもう李璃ちゃんを手放せないし、どこかに行かせる気も無い。
もっともっと、堕ちてしまえばいい。
僕以外の人間といられないように。
僕以外の手を取れないように。
李璃ちゃんが僕にだけ縋るように。
こんな狂ったことを平気で考えてしまうのは、あの人に育てられた性か。
それでいて、普通の人間としての感覚もあるから、狂った一面を持つ自分が苦しくて堪らない。
「氷霞が欲しいか? 夜唄」
眠る李璃ちゃんを抱き締めたまま考え込んでいると、聞き慣れた声が聞こえて視線を動かさずに答えた。
「うん」