白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





「今はまだ無理だ。殺し屋としてもっと育ててやるから、俺のもとで成長して、いつか俺を殺してみろ。……翠笑、お前もだ」


「くっ……!」


「そ、れは……」




頭に乗せられた手を払い落として、ギリリと奥歯を噛みながら千化を睨みつけた。

悔しいけれど、千化に手も足も出ないのは事実だ。




「あぁ、そろそろ時間だ。俺は楼苑(ろうえん)夜唄(ようた)の代わりをしてくるから、お前達は家でゆっくり休め」




そう言った千化に何か言う間も無く、また目の前が真っ暗になって、薄暗い部屋の中に移動した。

ここは、翠笑と一緒に暮らしているマンション、それも翠笑の寝室のようだ。




「っ、全部、全部、千化の手のひらの上……!」


「氷霞ちゃん……」




やり場のない怒りを抱えて、私は翠笑に抱き着いた。