「李璃?」
「大好き、獅紋くん」
心からの想いを告げて、抱き着いたまま背伸びをし、先程寸前で止められたキスをした。
鼓動が速くなって、体温が上がる。
薄目を開ければ、獅紋くんが甘く蕩けた瞳を閉じて、キスに応じた。
9年振りに、想いが通じ合う幸せが胸に広がって、ぎゅっと抱き着く腕に力を込める。
そして、右手の中に氷のナイフを作って、背中を一突きした。
「んっ……」
キスをしたまま呻き声を発した獅紋くんが、私に体重をかけてきて、抱き締めたまま一緒に倒れ込む。
私はすぐに起き上がらずに、震える手で獅紋くんをぎゅっと抱き締めて、もう聞こえていないと分かっていながら謝罪の言葉を口にした。
「ごめんね、獅紋くん……っ。もう私は戻れないの……。獅紋くんと生きたかった……お父様とお母様と、獅紋くんとお兄様と、おじさまとおばさま、みんなで笑って生きたかった……!」



