窓を大きく開け、窓枠に足を乗せてしゃがみ込んでいるのは、変装した翠笑。
留置所に助けに来てくれた時のように、普段と違う声をしている。
「氷霞ちゃん。任務、忘れてないよね? 殺さなくちゃダメだよ」
「っ……」
「聞くな、李璃。……お前が人質に取られているのは分かっている。事情を話せば魔導警察はお前を保護してくれるだろう」
「僕達が魔導警察の世話になる時は、死ぬ時だよ。氷霞ちゃんが僕の命と獅紋の命をかけて、僕の命を選んでくれたのは嬉しかったんだけどなぁ……あんまり氷霞ちゃんを揺さぶらないでくれる?」
今も、あの仮面の下には嘘くさい笑顔が張り付いているのだろう。
翠笑は軽い声音で獅紋くんを冷たく突き放した。
「俺は李璃を正しい道に導いているだけだ。お前も千化に洗脳されて殺し屋になったのか?」



