「無理じゃない。李璃は1人で立ち向かおうとしたからそう思うんだ。組織なら、強大な個人にも立ち向かえる」
「っ、で、も……」
獅紋くんの言葉に微かな希望を見出してしまって、抵抗する力が弱まった。
獅紋くんは私を抱き締めたまま、更に言い募る。
「李璃。俺を……來樺院を信じてくれ。殺したくないなら殺さなくていい。脅迫になんて従わなくていいんだ」
「だ、ダメ……っ、そしたら翠笑が殺されちゃう……っ!」
「……翠笑?」
そうだ、私が獅紋くんを殺さなきゃ翠笑が殺されるんだ。
惑わされちゃダメ、獅紋くんの言葉を聞いちゃダメ……!
必死にそう言い聞かせて、私は獅紋くんの胸を押し返した。
「大切な人なのっ、翠笑がいたから私、殺し屋になっても生きていられた……!」
「そうか……それなら、その人も一緒に逃げればいい。魔導警察が保護してくれる」



