「獅紋くんが死なずに済むなら、私が死んだっていい……でも……っ!」
獅紋くんを生かす対価は、翠笑の命だ。
その上、獅紋くんが本当に死なずに済むかも分からない。
獅紋くんの死を願った人さえいなければ、こんなことにならずに済んだのに、と拳を握って歯噛みする。
「お願い、私に殺させ……っ!?」
俯いた顔を上げて、再び獅紋くんを見ようとすると、きつく抱き締められた。
隙を見せたのはほんの数瞬なのに、こんなに俊敏に動けるなんて……。
すぐさま抜け出そうとした私の耳には、獅紋くんの声が届く。
「もうやめるんだ、李璃。千化に従う必要なんて無い。李璃が千化のことを話せば、魔導警察が捕まえられる」
「そん、なの……無理に、決まってる……っ」



