暗器を振り上げたまま、獅紋くんがもぞっと動いて、枕元のスマートフォンを取り、薄目を開けるその様子を、ただ見ていることしかできなくて。
顔を横に向けて、スマートフォンの画面を見た獅紋くんは、その視線を徐々に上げて……私と、視線を交わした。
「……李璃?」
ヒュッ、と息を飲む音が聞こえて、掠れた、小さな声で、獅紋くんが私を呼ぶ。
大きく見開いた目に映る私はどんな顔をしているのか。
名前を呼ばれてようやく硬直が解けた私は、後ずさって吹雪を纏った。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「な……っ、やめろ、李璃!」
込み上げてきた涙は凍り、ガバッと上半身を起こした獅紋くんは、熱気で吹雪を相殺する。
火、雷、鉱物、風属性が得意な獅紋くんに、氷魔法は相性が悪い。
「死んで、お願い、苦しめずに殺すから……っ!」



