Side:―――


闇に紛れ、殺し屋は高く飛び上がる。

鍵の掛かっていない窓を開け、男子寮の一室に忍び込むと、ベッドに腰掛ける人影があった。



顔を覆い隠す仮面をつけ、燃えるような赤い髪をフードの下に隠した少年は、紫色の瞳を殺し屋に向ける。


1秒、視線を交わした殺し屋はリビングに続く扉に向かい、少年は殺し屋と入れ替わるように窓の外に出た。



少年の部屋を出た殺し屋は、足音を殺してリビングを横断し、向かいの扉を静かに開ける。



部屋の奥のベッドには、寝息を立てる金髪の少年がいた。


殺し屋はコクリと唾を飲み、静かに、慎重に窓に近付いて鍵を開ける。

退路の確保が終われば、後は“仕事”をするのみ。



殺し屋はゆっくりと深呼吸して、金髪の少年が眠るベッドに近付いた。