「え、本気なの?」


「ターゲットを殺せない殺し屋なんて価値がないでしょう? 出来損ないを手元に置いておく理由は無いわ」


「そんな……」


「氷霞を失いたくないなら、しっかり“サポート”しなさい、翠笑」


「……うん、分かった」




氷霞ちゃんが獅紋を殺せないと、氷霞ちゃんが殺される。

そんなのダメだ。


それなら僕がやることはひとつ。



話は終わったとばかりに、ボスはまた姿を消してしまったので、1人で氷霞ちゃんのもとに戻る。

すると、氷霞ちゃんは涙に濡れた顔で僕の胸に飛び込んできた。


氷霞ちゃんも、ボスに何か言われたのかな。

そんな風に思いながら、震える体を抱き締める。



氷霞ちゃんを、殺させはしない。