顔を上げてボスに懇願すると、綺麗に笑いながら頭を撫でられる。
「ダメよ、依頼だもの。彼は氷霞が好きだから、氷霞の姿をしてあげましょう。誤解を解いて、氷霞の想いを伝えて、愛を交わしたら、苦しめて、苦しめて殺してあげる」
「そんなのダメっ、獅紋くんにそんなことさせないっ!!」
「それなら、氷霞が殺してあげるといいわ。あぁ、でも、氷霞は彼を逃がしてしまうかしら?」
表情も声も、吐かれるその言葉の残酷さとまるで噛み合っていない。
殺し屋千化はそういう人間なのだと思い知らされているようで、体の震えが止まらなかった。
私は今までこんな人を慕っていたの?
私が見てきたボスは、全て偽りだったの?
「氷霞。もし來樺院獅紋を殺さなければ……生かしてどこかに逃がせば、罰として翠笑を殺すわ」
「な……っ!?」



