白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



まだ、他の可能性にかけている私もいる。

ボスは私の恩人だし、今だって助けに来てくれた。


だから、否定して欲しいという思いを心のどこかに持って、ボスを見上げた。




「ボス……白蓬(はくほう)家の、当主夫妻を……私の両親を、殺したのは……ボスなの?」


「……!」




翠笑が隣で息を呑む。

ボスは、柔らかく、優しく微笑んだまま口を開いた。




「えぇ、そうよ」


「っ……どう、して……」


「それがわたしの仕事だもの」




頭を鈍器で殴られたような感覚がした。

背筋が冷たくなった。

気持ち悪くて、気持ち悪くて吐き気がした。


何で、そんな顔であっさり肯定できるの。

全てを知っていながら、どうしてあんな任務を命じたの。

私の両親を殺しておいて、どうして愛してるなんて言えたの。