座り込んだままの私を、翠笑がぎゅうぎゅうと抱き締めてきて、我に返る。

本当に心から安堵している声音に胸が締め付けられて、翠笑の背中に手を添えた。




「心配かけて、ごめんね」


「うん……ほんとに、怖かった……」


「……ごめん」




私を抱き締める腕が、体が、微かに震えていることに気付いて、ぎゅっと抱き締め返す。

私も、あのまま翠笑が捕まっていたら、と考えるだけで怖い。


2人で抱き合って、精神が落ち着いてきた頃、ボスが柔らかい声を発した。




「氷霞。幼い頃の記憶を思い出したのですって?」


「っ……うん」


「氷霞ちゃん……?」




翠笑と体を離し、けれど1人でボスに向き合うのは怖くて、翠笑の服の袖を掴んだ。


お兄様が……(うしお)捜査官が言っていたことは本当なのか。