白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



これは私の口を割る為、動揺しちゃダメだ、と必死に言い聞かせていた私は、戻ってきた潮捜査官を見て身構えた。




「李璃、お兄様他の仕事入っちゃったから、留置所に戻ろっか」


「……?」




しかし、その口は取り調べの続きではなく、取り調べの終わりを告げて、言葉通り、私は留置所に戻された。




「また後で来るから、いい子にしてるんだよ」




にこやかにそう言って、普段通りの様子で独房の前から去っていった潮捜査官を見つめ、私は不思議に思いながらも魔力操作の練習を再開する。


後少し、もう少しで魔法が使える。




「今日は早かったのね。何かトラブルでもあったのかしら?」


「……他の仕事が入ったって言ってた」


「ふぅん、そう。それにしてもあの捜査官、二面性が凄いわね。ああいうのは絶対腹黒よ」


「悪意は、無いよ。頭がいいだけ」