「黒塚瑠璃。聞いてなかった?」
「……聞き流していた。すまない」
眉根を寄せながら目を細めたのは、名前を聞いた直後。
何かを訝しんでいるのだろうか。
偽名に変なところは無いと思うが。
反応を見逃さないように、じっと來樺院獅紋を見つめる。
「誕生日は?」
「……1月31日」
質問の意図が読めない。
けれど、來樺院獅紋は私の答えを聞いて、僅かに目を見開いた。
机に手をついたまま、ぐ、とその体が前のめりになる。
「家族構成は?」
「父親が1人」
「血は繋がっている?」
「……繋がってない」
変な質問ばかりだ。
取り調べのように感じるのは、來樺院が魔導警察の家系と聞いたせいだろうか。
固まった表情筋は、意図せずとも私の動揺を隠してくれる。
その間に、何か怪しまれるようなことをしていないか、自分の行動を振り返った。



