「っ……」


「あの時は、ちょうど俺が魔法学園に入った頃だったから、2人に魔法を見せてってせがまれたんだっけ。獅紋は不得意だと思っているけど、俺が教えた通り基本属性は全て標準以上に扱えるんだよ」


「……」


「李璃はどうだい? ちゃんと勉強して、基本属性を全て扱えるようになったのかな?」




冷徹な笑みなんて嘘のように、優しく温かい微笑みを浮かべて聞くお兄様。

私の口を滑らせる為だとしても、その温かさは心に響いてしまう。


今日はずっと、このやり方だ。




「……優しい振りをしたって、今更。何も心に響かない」




このままではお兄様と呼んでしまいそうで、顔を背けたままそう言った。

冷たい姿に戻ってくれたら、私も目の前の人を潮捜査官と割り切れるのに。