白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



両親が殺し屋に殺されたことや、その後ボスに拾われたこと、そのボスが両親を殺した殺し屋だったこと。

獅紋(しもん)くんのことや、記憶を思い出した経緯まで。


翠笑のことは、流石に隠しておいた。




「ふぅん、そうだったの……なかなか大変な思いをしてるのねぇ。そうね、あたしだったらその“ボス”を一発殴ってやるわ」


「殴る?」


「両親の仇だって分かっても、まだ信じちゃうくらい大切な人なんでしょ? あたしも、そんな人がいたら、きっとどんなに憎くても殺せないわ」


「……私には、まだ憎んでるのかも分からない。今まで、ボスは私にとって全てだったから……」




言いながら、胸に手を当てた。


私は今、ボスをどう思っているのか……。

相反する感情が渦巻いて、答えが出ない。