白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



そんな言葉、間に受けなければいいのに、心が揺さぶられてしまう。

私が目を逸らして黙っていると、潮捜査官は「それじゃあ、また明日」と言って、檻の前から去っていった。


溜息をこぼして俯けば、手錠の代わりの腕輪が目に入る。


魔導警察に、捕まってしまった。

改めてその事実が胸に染みこんできた。




「ねぇ、氷霞(ひょうか)ちゃん? あの捜査官、あなたのこと李璃って呼んでたけど、もしかして……」




隣の独房から声が聞こえてくる。

こんな檻の中では特にやることもないので、私は蠱惑に答えることにした。




「うん。私は、白蓬(はくほう)李璃(りり)


「あらまあ……まさか本物が近くにいたなんてね。あなた行方不明になったんでしょ? 何で殺し屋になったの? それも婚約者を殺す仕事なんて受けて」