「とんだ親不孝者だ。……今日はここまでにしよう。留置所まで送ってやる」
「……」
潮捜査官に促されて、パイプイスから立ち上がり、警察署内を歩いた。
辿り着いた留置所は想像よりも綺麗で、檻が白いからか、軽い印象を受ける。
潮捜査官は独房と思われる部屋の前で足を止め、「ここがお前の部屋だ」と檻の扉を開けた。
そのまま振り返って私の両手首に腕輪をつけると、手錠を外す。
この腕輪も手錠と同じく、魔力操作を阻害する効果があるようだ。
「さぁ、入りなさい」
「あら? あなた、髪の色が違うけど……そう、あなたも捕まっちゃったの?」
「……蠱惑?」
隣の独房から聞き覚えのある声が聞こえて目を向けると、黒に近い深紫色の髪に琥珀色の目をした女性がいた。