Side:白蓬(はくほう)李璃(りり)(氷霞)




「強情だな。親の仇と分かったのに何故庇う?」




溜息混じりに、冷徹さを隠さなくなった“(うしお)捜査官”が冷めた目で私を見る。



取り調べを始めてから、もう長い時間が経った。

昼休憩を挟んだのは何時間前のことか。


途中で荒井田(あらいだ)や他の捜査官と入れ替わって、私の取り調べに戻ってきた潮捜査官は、色んな切り口でボスのことを聞いてきた。

私はボスのことも、翠笑(すいしょう)のことも、話さなかったけど。




「それでも、私にとっては……大切な人、だから……」




答える言葉は、半ば自分にも言い聞かせている。


両親を殺したのが、ボスだった。

そのショックは、時間が経った今でも大きい。