虫も殺せないような李璃が、殺し屋になるわけがない。

そう思っていたのに、李璃は大人しく魔導警察に連れていかれて……。



全てを、意味深に考えてしまう。


あの無表情と、暗い瞳。

1人になると、よく出くわしたこと。

李璃を騙っていたあいつが、殺し屋だと知っていた本当の理由。




『私はもう、素直に喜べなくなっちゃったけど……』




あの言葉の意味。


授業が終わって、休み時間になっても、俺は自分の席に座ったまま、動けなかった。




「獅紋……」


「來樺院さん!」




夜唄(ようた)類家(るいけ)に声をかけられて、のろのろと顔を上げる。

普段大人しい類家は、必死な顔で俺を見つめていた。