白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



私はもう闇にどっぷりと浸かった身。

罪から逃れることはできないし、帰る場所は翠笑(すいしょう)とボスのところだと決まっている。



「ちなみに、その任務は誰から受けたの?」


「……ボス、から」




こっそり呼吸を整えて、俯いたまま今の状況でできることを考えた。

まずはお兄様、ひいては魔導警察にボスと翠笑の情報を漏らさないこと。




「ボスって、殺し屋千化(せんか)のこと?」


「……そう」


「千化って普段どこにいるのかな?」




お兄様の質問を聞いて、知りたいのはボスのことか、と身構える。

ボスの素性については私もよく知らないけど、私が知っていることが魔導警察のヒントになるかもしれない。




「……知らない」


「ふぅん? それじゃあ、あの時のこと教えてよ。白蓬(はくほう)家の当主夫妻……李璃の父上と母上が殺された時のこと」