『悪いことだから、しちゃいけないんじゃない。誰かが悪いことをしたら、誰かが痛くなったり、辛くなったり、悲しくなったりするから、ダメなんだ』
『私達魔導警察は、その痛くなったり、辛くなったり、悲しくなったりした人達の為に、悪いことをした人を捕まえて、叱るんだよ。こんなことをしちゃダメだ! ってね』
おじさまの教えがあったから、私は悪いことをしようと思わなかった。
それでも、小さい頃は欲望に負けてお菓子をつまみ食いしたりしたこともあって……。
お兄様は、そんなときホッとするような笑顔を浮かべながら、容赦なく大人に告げ口して、おやつ抜きの罰を与えたりした。
獅紋くんと同じ、潔白の正義感を持っているお兄様は、情のある相手だからと言って、罪を許すことはない。
死にたくないのなら、お兄様の優しさに絆されてはダメだ。