『もし、魔導警察に捕まるようなことがあれば……嘘と真実を混ぜて適当に話せ。黙っていたら、強行手段を使われる可能性がある』
『いーい? 李璃。人に優しく、素直でいるのよ』
ボスの教えに従わなければ、と理性を働かせると、お母様の言葉が蘇って、また感情に飲まれそうになる。
相反する世界が、教えが、私の心を雁字搦めにして、身動きできなくなった。
「どうしてさくら魔法学園に転入したんだい?」
「……任務の、為……」
「どんな任務なのかな?」
「それ、は……」
無意識に呼吸が浅くなって、膝の上で拳を固く握る。
俯いたまま、冷静に考えることもできず、感情のままに全てを吐き出すこともできず、煮え切らない心でぎゅっと目を瞑った。
「獅紋を殺す任務?」
「っ……」