「さ、どうぞ。だんまりはオススメしないよ」
「……」
「お願いします、荒井田さん」
お兄様の前で嘘も真実も言えず、口を閉ざしていると、手錠をしたままの腕を掴まれて、魔力波解析機に手を乗せられる。
無駄だとは分かっていても、解析妨害の魔法を発動しようとした。
「ん? ……へぇ、獅紋の言ってたことは本当だったのか。再会がこんな形になるなんて残念だよ、李璃」
「っ……」
声変わりして低くなったお兄様の声が、昔の記憶と重なって唇を噛む。
家族にだけは、知られたくなかった。
今となっては、もう遅すぎる思いが、ただ私の胸を締め付ける。
「……李璃。お兄様に全部、話してごらん?」
「……ぉ、に……さま……」
それまでと打って変わって、お兄様の声音が優しくなった。
昔と同じ。
私を義妹と愛してくれる、賢くて優しいお兄様。
涙がこみあげてきて、全てを懺悔してしまいたくなった。