白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





「ご安心ください、赤枠内のガラスは取り替え式になっていますので」


「……」




ニコニコ笑う荒井田に、思わず黙り込んでしまう。


魔導警察が何をしたいのかは分かる。

何かと理由をつけて、私の舌を確認しようとしているのだろう。

ドクロのタトゥーは、魔導警察に流出している情報だから。


まぁ、ここで断固として断るのも怪しいし、“恥ずかしい”とでも言って口元を隠せばいいか。




「分かりました」




荒井田からDNA解析機とやらを受け取って、下の方にある赤枠に囲まれたガラス板を、手で隠しながら舐める。

そのまま機械を返せば、荒井田はそれをまた別の機械と繋げて、じーっとモニターを見始めた。


振りにしては真剣だな、と私が思った時、荒井田は片手を上げる。

それを合図としたかのように、背後の魔導警察官が動く気配がして、素早く立ち上がった。