「部屋が暗かったので、分かりません。目は金色だったような気がします」
「では、その後、何をされていたのですか?」
「いつ気を失ったのか分かりませんが……気付いたら、今の父親に拾われていました。その時にはもう記憶が無くて、数日前までずっと自分を孤児だと思っていました」
話したことは全て事実だけど、向こうが私を殺し屋だと確信しているなら、嘘の一言で一蹴されるだろう。
人当たりのいい顔をしているものの、内心が読めない荒井田は、「そうですか。分かりました」と言って、懐から長方形の黒い物体を取り出した。
「これは魔導警察で試験的に導入されている最新のDNA解析機です。白蓬李璃さん本人か確認したいので、この赤枠のところを舐めていただけますか?」
「……舐める? 衛生的に問題がある調査機器を、魔導警察が本当に使っているんですか?」



