「なるほど。先程ある生徒があなたのことを白蓬李璃さんだと仰っていましたが、その件についてはいかがです?」
魔導警察官荒井田は、愛想良く微笑みながら尋ねた。
この場面で、どう答えるのが正解か……テーブルの下で人差し指と親指を擦りながら考える。
「……事実です。昔は白蓬李璃という名前でした」
「そうですか。では9年前、何があったのかご説明いただけますか?」
教室では傷害事件についての聞き取りだと言っていたのに、動じることなく掘り下げてきた。
この警戒態勢からも薄々感じたけど、やはり殺し屋だと疑われていると思った方が良さそうだ。
「夜中に目が覚めたので、両親の寝室に行きました。ベッドの傍らに誰かがいて、気付いたら頭に手を乗せられていました」
「その誰かは、どんな容姿を?」



