「待ってください、まだ決まったわけじゃないでしょう!」
次に声を上げたのは、訳知り顔の獅紋くん。
焦りと不安が滲んだ様子で、魔導警察官に真っ直ぐ視線を向けている。
「ですから調査するのです。あなたが黒塚瑠璃さんですね?」
「っ……」
「それなら、俺も同行させてください! 彼女は俺の婚約者です、その権利はあるでしょう!?」
獅紋くんの発言に、教室内はざわめいた。
港泰と胡桃を含め、クラスメイトの視線が私に集まる。
「それはあなたの思い込みであり、立証された事実ではありません」
「思い込みなんかじゃない! 俺はちゃんと調べた、黒塚瑠璃は俺の婚約者、白蓬李璃だ!」
「で、あってもあなたの同行は認められません。それでは行きましょう」
「……」
魔導警察官に促されて、大人しく立ち上がった。



